このブログでも取り扱っている量子コンピュータの世界ですが、純国産で稼働が始まっているものがあります。今回はそのニュースについて取り扱っていきます。
この記事でわかること
・ ニュースの概要
・ 今後の見通しや考えられる影響
どんなニュースなの?
7月28日(月)、大阪大学量子情報・量子生命研究センター(QIQB)にて、主要部品・パーツやソフトウェアが全て日本製となる「純国産」超伝導量子コンピュータが稼働を開始します。
QIQBより引用
また、8月14日~8月20日の期間に大阪・関西万博にて開催される企画展「エンタングル・モーメント―[量子・海・宇宙]×芸術」にて、パーツの展示も行われるそうです。また、会場内に設置された端末を通じて、来場者がシステムにクラウド経由で接続できるとのこと。
量子コンピュータって何?
前回にも記していますが、今のコンピュータが「0」か「1」のどちらか一方でしか情報を表せないのに対し、量子コンピュータは「0であり、かつ1でもある」という”重ね合わせ”の状態を扱えます。
超伝導って?
前回の光量子方式とはことなる、“超伝導方式”。これは、特定の金属などを極低温まで冷やすと電気抵抗がゼロになる「超伝導」という現象を利用します。この超伝導状態の回路を使って、繊細な量子の性質を扱うのがこの方式です。
「純国産」の何がすごいの?
量子コンピュータは、国の経済安全保障にも関わるほどの超重要技術です。その心臓部である部品や、それを動かすソフトウェアを自国で開発・製造できるということは、海外の技術に依存することなく、安定して研究開発を進められることを意味します。
今後の見通しや考えられる影響
この件で、今後期待されることは、国内産業の競争力強化が考えられます。特に新産業創出の起爆剤になることが期待されます。量子コンピュータは、以下のような分野で、今のコンピュータでは不可能な計算を可能にすると期待されています。
- 創薬・医療: 分子レベルのシミュレーションにより、新薬の開発期間を劇的に短縮する。
- 材料開発: より高性能なバッテリーや太陽電池、CO2を吸収する新素材などの開発を加速する。
- 金融: 複雑な金融商品のリスク計算や市場予測の精度を向上させる。
- 物流・交通: 無数の選択肢から最適な配送ルートや交通網を瞬時に計算し、渋滞や無駄をなくす。
国産機があることで、国内の企業はこれらの分野でいち早く量子コンピュータの活用ノウハウを蓄積でき、世界市場での競争力向上につながります。
しかし、この強力な計算能力は、現在のインターネットを支える暗号を簡単に解読してしまうリスクもはらんでいます。そのため、AIブームの時と同様に、技術の恩恵とリスクの両面を考え、倫理的な議論や安全な利用ルールの整備を迅速に進めることが期待されます。
まとめ
今回は上記のニュースについて解説しました。まとめると以下の通りです。
・「純国産」の量子コンピュータが開発され、実際に体感できる!
・新たな産業創出が期待できる。
かなりの大進展でした。量子コンピュータの今後に期待が募ります。
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