「量子コンピュータ」
AIブームの後に騒がれた、“量子”を活用したコンピュータのことを聞いたことがある方は少なくないはずです。実際のところ、現状では実用的な段階にないイメージでしたが、そのイメージが覆るニュースを紹介します。
この記事でわかること
・ ニュースの概要
・ 今後の見通しや考えられる影響
どんなニュースなの?
東京大学やNTT、情報通信研究機構(NICT)などは1日、量子コンピューターの誤り訂正に必要な論理量子ビットなどに使われる光量子状態の高速生成を実現したと発表した。
電波新聞デジタルより引用
より技術的な情報は UTOKYO 様をご参照ください。
で、これの何が「世界初」で「すごい」の?
このニュースの凄さは、大きく2つのポイントに絞られます。
① コンピュータの「材料」の質が劇的に良くなった
光量子コンピュータは、「光の粒」を材料にして計算します。これまでの技術では、例えるなら「純度の低い、不揃いな光の粒」しか扱えず、計算ミスの原因になっていました。
今回の技術は、「超高純度で、形も揃った最高品質の光の粒」を、しかも高速に生み出すことに成功した、という点が画期的なのです。良い材料が手に入ったことで、より高性能なコンピュータが作れるようになりました。
② 「一発芸」しかできなかったのが「連続技」を出せるようになった
これまでの光量子コンピュータは、特定の計算(一発芸)は得意でも、様々な計算を連続して行う(連続技)のが苦手でした。
今回の技術は、様々な計算を自由に組み合わせて実行できる「汎用型」である点が世界初です。これにより、創薬や新材料開発など、より複雑で実用的な問題に挑戦できる可能性が生まれました。
量子というと、今まで学んだ当たり前が通用しない世界です。りんごが木から落ちれば、落下地点は1つに定まりますが、量子では落下地点は確率によって変化します。
この現象として、有名なのは2重スリットの実験ですね。よく聞く言葉で言えば、「重ね合わせ」の状態を引き出す実験です。
量子コンピュータはいくつか種類がありますが、日本では光量子を用いた研究が進んでいる印象です。コンピュータ同士の通信も光通信ですから親和性があり、実現した場合の活用が現実的であると思います。
今後の見通しや考えられる影響
今後はこの技術を適用した量子コンピュータの開発・設計が考えられるでしょう。東京大学発ベンチャーもありますから、行政を絡めた日本の一大研究として取り扱われることを期待しましょう。
まとめ
今回は上記のニュースについて解説しました。まとめると以下の通りです。
・今までより高速な光量子の研究成果が発表された。
・この技術によってより量子コンピュータの実現に近づいた。
画期的な技術の進歩によって更なる量子ブームを期待したいですね。
コメント